「頭の中を整理したくて
ノートを開いたけれど、結局
モヤモヤしたまま終わった」
「感情を書き出しても、
なんだか同じことを
ぐるぐる考えてしまう」
そんな経験はありませんか?
ジャーナリングは、
自分の気持ちや思考を外に出して整理する
とてもシンプルで力のあるツールです。
けれど時には、書き出すだけでは
スッキリせず、
「で、どうすればいいの?」
と立ち止まってしまうこともあります。

そんなときに役立つのが、
ロジックツリーという思考ツールです。
もともとはビジネスの課題解決のために
使われてきたものですが、
これをジャーナリングに取り入れると、
自分の内面が驚くほどクリアになります。
たとえば
- 「なんとなく不安…」というモヤモヤを、ロジックツリーで掘り下げることで、「本当は○○がうまくいくか不安だった」と原因が明確になった。
- 「やりたいことがわからない」という悩みを、ツリーを使って分解していくうちに、「私は○○に価値を感じていた」と、自分の軸に気づけた。
- 書くだけでは堂々巡りだった思考が、「Why?」「How?」と枝を分けていくことで、自然と行動のヒントにたどり着けた。

このブログでは、
「ジャーナリング×ロジックツリー」
の具体的な使い方を、
初心者でも実践できるステップとともに
ご紹介します。
「感情をうまく言葉にできない」
「考えていることがまとまらない」
「もっと深く自分を知りたい」
そんな人にこそ、読んでほしい内容です。
感覚と論理をつなぐ新しい書き方で、
あなたの内側にある
“まだ言葉になっていない本音”
に出会ってみませんか?
ロジックツリーとは?
ロジックツリーとは、
ひとつのテーマや課題を
枝分かれさせて整理する思考法です。

中心にある問いから
「なぜ?(Why)」や「どうやって?(How)」と
順に掘り下げていくことで、
全体像や本質が見えてくるのが特徴です。
図にすると、ちょうど木のような
形になることから
「ロジックツリー(論理の木)」
と呼ばれています。
代表的なツリーの種類
- Whyツリー:原因を深掘りする
例:「なんだか不安」→なぜ?→「仕事が忙しい」→なぜ?→「自分の時間がない」→なぜ?→「断れない性格だから」 - Howツリー:手段や方法を展開する
例:「もっと自分を大切にしたい」→どうやって?→「休む」「断る」「話す」→それぞれをさらに細分化
ビジネスでは
「課題の原因分析」「施策の検討」
などに使われますが、
自己理解のツールとして使っても
効果は抜群です。
たとえば、
感情に名前をつけるだけでは
わからなかった
“その奥にある本当の理由”
が見えてきたり、
漠然とした願望が
「明日から何をするか」まで
落とし込めたりします。
また、ロジックツリーを作るときは
「モレなくダブりなく(MECE)」
という考え方を意識すると、
より整理された思考になります。

MECEとは?
- モレなく:全体を網羅していること。抜けがない。
- ダブりなく:項目同士が重複していないこと。かぶりがない。
たとえば、「自分を大切にする方法」
を考えるときに:
✖️モレ・ダブりがある例:
- 休む
- 寝る
- リラックスする
- 寝る
→「寝る」が重複していたり、
「リラックスする」があいまいで
他と重なっている可能性があります。
✔️MECEを意識した例:
- 身体を休める(例:睡眠、入浴)
- 心を整える(例:瞑想、日記を書く)
- 人間関係を整える(例:断る)

このように、
分類がはっきりしていて、
抜けや重なりがない状態
を目指すと、自分の思考も
よりクリアに見えてきます。
とはいえ、
完璧なMECEを目指す必要はありません。
ジャーナリングでは
「自分の思考や感情を少しでも
見える化すること」が目的です。
あくまで、自分の思考や感情を
“見える化”するための地図として
活用すればOKです。
ジャーナリングにロジックツリーをどう使う?
「ロジックツリーって便利そう。
でも、実際に日記やノートに
どう取り入れるの?」
ここでは、ジャーナリングに
ロジックツリーを組み合わせる
具体的な方法をご紹介します。
ポイントは、
「自由に書き出す」→「構造化して整理する」
という2ステップで進めることです。
まずは感情や思考をそのまま書き出し、
あとからロジックツリーの形で
整理していくことで、
言語化の深さがグッと変わってきます。

パターン① 感情の深掘りに:Whyツリー
感情がモヤモヤしているときには、
「なぜ?」を繰り返すWhyツリーが
効果的です。
- 書き出し:「なんだかイライラする」
- Why1:なぜ? → 仕事がうまく進まない
- Why2:なぜうまくいかない? → 周囲の協力が得られていない
- Why3:なぜ協力が得られない? → 自分がうまくお願いできていない
- Why4:なぜうまくお願いできない? → 頼ることに罪悪感がある

表面の「イライラ」の裏に、
「頼れない自分への厳しさ」
があると気づけます。
このように感情の奥を
掘り下げていくことで、
自分でも気づいていなかった
本音や価値観が見えてきます。
パターン② 行動の整理に:Howツリー
「こうなりたい」
「この状態を変えたい」
という思いがあるときには、
Howツリーが役立ちます。
- 書き出し:「もっと自分の時間を大切にしたい」
- How1:どうすれば? → 優先順位を見直す、断る力をつける、SNSの時間を減らす
- How2:どうやって優先順位を見直す? → やることリストを分類する、手帳に予定を書く
- How3:どうやって断る? → 練習する、断るフレーズを用意しておく

行動の選択肢が具体的に見えて、
「まず何から始めるか」がはっきりします。
感情×思考のハイブリッド整理術
さらに応用として、
感情の理由(Why)と行動の方法(How)を
組み合わせることで、
気持ちの整理+行動の選択
ができるようになります。
たとえば、「不安」という感情を
Whyツリーで深掘りし、
その上で「じゃあ、どうする?」を
Howツリーで考える。
これをセットで行うと、
内面の理解と日常の変化が
つながりやすくなるのです。

ロジックツリー付きジャーナリングのやり方
ここからは、
実際にロジックツリーを使った
ジャーナリングを始めるための
ステップをご紹介します。
必要なのは、ノートとペンだけ。
時間は10〜15分でもOKです。
モヤモヤを「なんとなく」で終わらせず、
言語化の深みに入っていく感覚を、
ぜひ体験してみてください。
ステップ①:今の気持ち・テーマを書き出す
まずは
感じていること・考えていることを
自由に書き出します。
- 「なんとなくモヤモヤする」
- 「うまくいかないことがある」
- 「〇〇が気になる/嬉しかった/嫌だった」
ここでは正しい言葉を使おうとせず、
自分の内側にあるものをそのまま
書き出すのがコツです。
ステップ②:「なぜ?」「どうやって?」で枝を広げる
次に、書き出した内容に対して
ロジックツリーで掘り下げていきます。
感情の整理なら「なぜ?」(Whyツリー)
例:「最近イライラする」
→ なぜ? → 忙しい
→ なぜ忙しい? → 仕事を抱え込みすぎている
→ なぜ抱え込む? → 断るのが苦手 …など
行動を考えたいなら「どうやって?」(Howツリー)
例:「自分をもっと大切にしたい」
→ どうやって? → 時間をつくる、優先順位を変える、他人に頼る
→ 具体的に? → SNSを減らす、ToDoを減らす、断る練習をする …など
「なぜ?」「どうやって?」は、
1つの答えに絞らず
複数の枝を出すことがポイントです。
感情や考えに奥行きが出てきます。

ステップ③:気づいたこと・印象に残った枝を振り返る
ツリーを書き終えたら、
心に引っかかる枝や、
意外に思ったところに
印をつけてみましょう。
- 「あ、私ってこんなこと思ってたんだ」
- 「意外と、これが一番ストレスだったかも」
- 「すぐには無理だけど、この枝の行動なら試せそう」
この振り返りが、
自分の感情や価値観を言語化する
一歩になります。
ステップ④:まとめやアクションを書き足す
最後に、
「明日からこうしてみよう」
「今日はこれに気づけたのがよかった」
など、ひと言まとめておくと、
後で見返したときにも意味が深まります。
強制ではないので、疲れているときは
ステップ③まででも大丈夫。
自分のペースで、書く・広げる・振り返るを
くり返していきましょう。

ロジックツリーというと、つい
「ちゃんと整った図にしなきゃ」
と思いがちですが、
ジャーナリングでは“雑でいい”
が正解です。
ぐちゃぐちゃの図でも、
途中で止まっても、
思考がひとつでも進めば立派な内省です。
事例紹介:こんなふうに使ってみた
ここでは実際に、
ロジックツリーを使ってジャーナリングした
3つの事例をご紹介します。
「感情の整理」
「自己理解の深掘り」
「行動の整理」
など、いろいろな場面でどう使えるかの
参考にしてみてください。
事例①:なんだかモヤモヤ…感情の奥を見つけたケース(Whyツリー)
テーマ:「なんか最近、ずっとイライラしてる」
- 最初に自由に書いたこと:
「仕事中も家でも、些細なことでイライラしてしまう。自分が嫌になる」 - Whyツリーで掘り下げた内容:
- なぜイライラ? → 自分の時間がない
- なぜ時間がない? → 家事と仕事で余裕がない
- なぜ余裕がない? → 何でも自分でやってしまう
- なぜ自分でやる? → 頼るのが苦手・罪悪感がある
- 気づいたこと:
「“人に頼れない自分”にずっと無理をさせていた」ことに気づいた。
イライラの原因は“時間”ではなく、“頼れない生き方”だった。

事例②:自分の価値観に気づいたケース(Whyツリー)
テーマ:「もっと自由に生きたいって、最近よく思う」
- 書き出したこと:
「SNSを見るたび、自由に働いてる人が羨ましい。でも私は変われない」 - Whyツリーで掘り下げた内容:
- なぜ自由に生きたい? → 自分のペースで過ごしたい
- なぜペースが大事? → 誰かに合わせ続けるのが疲れる
- なぜ合わせる? → 嫌われたくない
- なぜ嫌われたくない? → 「いい人」でいたいという思いが強い
- 気づいたこと:
「自由を求めているようで、本当は“人に合わせすぎて自分を抑えてきた”からしんどかったんだ」とわかった。
“自由”は環境の問題じゃなく、自分の在り方の問題かもしれない。

事例③:どう動くか迷っていたけど整理できたケース(Howツリー)
テーマ:「この仕事、辞めた方がいいのかな?」
- 書き出したこと:
「今の職場にやりがいを感じられなくなっている。でも辞める決断も怖い」 - Howツリーで展開した内容:
- どうしたい? → 自分が納得して選びたい
- どうやって? → 辞めた後のビジョンを描く/今の仕事で改善できるか考える/誰かに相談する
- 「辞めた後のビジョン」は? → フリーランス/転職/休む
- 「今の仕事で改善できること」は? → 部署異動/働き方を見直す
- 気づいたこと:
「辞める or 辞めない」だけじゃなく、“その間にできる選択肢”がいろいろあると見えて、心が軽くなった。
「すぐ辞めるか決めなきゃ」ではなく、「選択肢を整理すること自体が今の一歩」と思えるように。

ロジックツリー付きのジャーナリングは、
「私はこう思っていたんだ」
「今の自分は、こう感じていたんだ」
という“輪郭”をくっきりさせてくれる方法です。
どんな感情も、ぐちゃぐちゃの思考も、
木の枝のように分けていけば、
ちゃんと形になります。
完璧な図を描く必要はありません。
たとえ1本でも枝が伸びれば、
それが前進です。
よくある疑問・つまずきポイント
ロジックツリー付きジャーナリングを
始めてみると、多くの人が同じような
壁にぶつかります。
でも、それは自分の思考とちゃんと
向き合おうとしている証でもあるのです。
ここでは、よくあるつまずきと
そのヒントをいくつかご紹介します。
Q1:ロジックツリーの形がうまく描けません…
A:図の形はどうでもいいです!
ロジックツリーと聞くと、「きれいな樹形図にしなきゃ」と思いがちですが、ジャーナリングでは思考が枝分かれしていればOK。ノートに矢印をつなげたり、箇条書きにしたり、マインドマップ風でも大丈夫です。むしろ「ぐちゃぐちゃでも自分にとってわかりやすいか」が大事。頭の中を可視化するための手段だと捉えてください。
Q2:「なぜ?」や「どうやって?」がうまく出てこない…
A:止まってOK。問いを変えてみましょう。
深掘りが難しいときは、無理に答えを出そうとしないのがコツです。問いを少し変えるだけで思考が動きやすくなることもあります。
たとえば:
- 「なぜそう感じたんだろう?」
- 「そのとき、体や心はどう反応してた?」
- 「別の人が見たら、どう感じると思う?」
問いに詰まったときは、自分を責めるより「ちょっと目線を変えてみよう」とゆるく構えるのが大切です。
Q3:毎回深掘りしなきゃいけないの?
A:そんなことありません。必要なときだけでOKです。
ロジックツリーは毎回使わなくても大丈夫。たとえば、普段は普通のジャーナリングをして、「このテーマ、もう少し整理したいな」と感じたときだけ使うのもおすすめです。ツールはあなたを助けるためのものであり、あなたを縛るものではありません。「使いたいときに、使いたい分だけ」で十分効果があります。
Q4:正しい答えが出せていない気がする…
A:ジャーナリングに「正解」はありません。
「この理由は合ってるのかな?」「これって浅い?」と感じることもあるかもしれません。でも、そのとき自分がたどり着いた言葉が“今のあなたにとっての真実”です。正解を探すのではなく、「今、自分はこう考えているらしい」と観察することが目的です。
Q5:時間がかかって面倒に感じます…
A:3分でもOK。小さく始めましょう。
ロジックツリーというと「ちゃんと時間を取らなきゃ」と思うかもしれませんが、1つの問いに1つの枝だけ伸ばして終わりでも立派なジャーナリングです。
- 朝の3分で1問だけ深掘る
- 移動中に頭の中でツリーをイメージする
- 思考の整理メモをスマホに残す
「続けやすい形」を優先することで、自然と習慣になっていきます。

迷ったり、詰まったりするのは、
「自分の内側とちゃんと
向き合おうとしている証拠」です。
すぐに答えが出なくても、
ロジックツリーに向き合う時間そのものが
思考や感情を整理する大切な
プロセスになります。
思考の地図を作ってみよう!
「書くことで自分を整えたい」
「モヤモヤを整理して、本音を見つけたい」
そんな想いから始まるジャーナリングに、
ロジックツリーという
“思考の地図”を添えることで、
あなたの内面はぐっと見通しやすくなります。
- 感情の奥にある“本当の理由”が見えてくる
- 漠然とした悩みを、具体的な選択肢に分解できる
- 書くことに慣れていない人でも、問いの力で自然と深掘りできる
そして何より、
自分の言葉で、自分を理解できる
という感覚は、日々を安心して
過ごす土台になります。
ロジックツリーは、あなたの考えを
整理する“道具”であり、
完璧な答えを出すための
“試験”ではありません。
1本でも枝を伸ばせたらそれでOK。
「なぜ?」「どうやって?」という問いを、
日常の中でそっと投げかけるだけでも、
あなたの内側には少しずつ
変化が起きていきます。

もし今、
「書くことで何かを変えたい」
と思っているなら、
ぜひ一度、ロジックツリーをノートに
描いてみてください。
きっとそこには、
まだ言葉になっていなかった
あなたの本音が、
静かに息づいているはずです。
たかひろ | ジャーナリングガイド
コメント