「自分を俯瞰できる力」が、心をラクにする

感情整理


ふとした瞬間にイライラしたり、
落ち込んだり、自己嫌悪に陥ったり。

冷静になって振り返ると

「なんであんなに反応して
しまったんだろう」

と思うこと、ありませんか?

私たちは日々、感情の波に
さらされながら生きています。

そして気づけば、
その感情に引っ張られて

「やらなくていいことをやってしまった」
「言わなくていいことを言ってしまった」

なんてこともしばしば。

「もっと落ち着いていたいのに」
「人の言動に振り回されずに、
自分のペースで生きたい」

そう願っている人は多いのでは
ないでしょうか。

でも、感情そのものを
「消す」ことはできません。

私たちができるのは、
それをうまく扱う力を育てることです。

そのために大切なのが、

自分を俯瞰して見る力(=自己客観視)

です。



感情が動いているときの自分を、
もう一人の自分がそっと
見守っているような感覚です。

この感覚があると、
たとえ怒りや不安が湧いてきても、
その波に飲み込まれずにすみます。

そして、この力は生まれつき
備わっているものではなく、
後からでも育てていけるものです。

そのトレーニングとして、
シンプルで効果的なのがジャーナリング

つまり、
自分の内側を言葉にして書く
ことです。


自己客観視とは「もう一人の自分」で自分を見られる力


自己客観視とは、一言でいうと、

自分の感情や思考に巻き込まれずに、
それを少し離れたところから見つめる力

です。

たとえば、
誰かに冷たい言葉をかけられて、
モヤッとしたとします。

そのときに、

  • 「あの人ひどい!」
  • 「私が悪かったのかな…」
  • 「なんでこんなことで
    傷ついてるんだろう…」

と、感情に飲み込まれて
グルグル思考に入るのが自然な反応です。

でも、自己客観視の力が育っている人は、
こんなふうに考えます。


「あ、いま私は“傷ついた”って感じてるんだな」
「どうやら“否定された”って受け取ったらしい」
「でも、相手の意図はどうだったんだろう?」



このように、自分の中にもう一人の
“観察者”がいるような視点。

それが自己客観視です。

ここで大切なのは、
「感情を抑え込むこと」でも
「ポジティブ変換すること」でもないという点。

ただ、“いまの自分”をそのまま見る
ことが目的です。

これができるようになると、
怒りや不安が湧いても、

「感情の海で溺れる」のではなく、
「海辺でその波をながめる」
ような感覚になります。



もちろん、最初から完璧に
できるわけではありません。

感情に巻き込まれたあとに、
「ああ、巻き込まれてたな」
と気づくだけでも十分です。

その小さな気づきの積み重ねが、
自己客観視の力を少しずつ
育ててくれます。

そしてこの「気づく力」を育てるのに
ぴったりなのが、ジャーナリングです。

紙の上で自分の感情や思考を
見つめることが、自己客観視の
練習になるのです。


書くことで、自分を外側から見られるようになる


感情に飲み込まれているとき、
私たちは「内側」に意識が集中しています。

頭の中はモヤモヤでいっぱいで、

「なんでこんなにイライラするの?」
「どうしたらいいの?」

と答えのない問いがぐるぐる回り続けます。

そんなとき、頭の中で考え続けるよりも
ずっと効果的なのが、
紙に書き出すこと=ジャーナリングです。



書くことで、私たちは自然と
「自分の内側」と「自分の視点」との間に
距離をつくることができます。

頭の中で渦巻いていた思いや感情を、
言葉という“かたち”にして外に出すと、
それを見ることができる状態になるんですね。

たとえば、こんなふうに書いてみたとします。


「あの人の一言に、すごく傷ついた。たぶん、私が否定されたように感じたからだと思う。
本当は、認めてほしかったのかもしれない。」


こうやって文章として書かれた
自分の気持ちを、あとから読み返すと、

それはもう「ただの感情」ではなく、
客観的な情報になります。

すると、

「私はなんてネガティブなんだろう」

と責めるのではなく、

「ああ、自分は今こういうことで
つまずいてるんだな」

「こんな価値観を持ってるんだな」と

冷静に見つめることが
できるようになるのです。

ここに、自己客観視の第一歩があります。



書くという行為は、ただ感情を
吐き出すためだけのものではありません。

自分の内側を映し出す鏡をつくる
ようなものです。

言葉にして初めて、
「こんなふうに感じてたんだ」
と気づくこともよくあります。

そしてこの気づきの積み重ねが、
あなたの中に「もう一人の自分」を
育てていきます。

つまり、書くことはまさに、
自分を外側から見られるようになる
トレーニング
なのです。



ジャーナリングがもたらす変化


では、ジャーナリングを続けていくと、
実際にどんな変化が起きるのでしょうか?

いくつかの代表的な変化を紹介します。


自分の「反応パターン」に気づけるようになる


「また同じことでイライラしてるな」
「私は“否定された”と感じると、
すぐに自己防衛モードになるんだな」

こんなふうに、自分がどんな出来事で、
どんな感情を抱きやすいかが
少しずつ見えてきます。

これはつまり、自分の感情のクセに
気づくということです。

気づくだけで、そのクセに
振り回されにくくなるのです。


グルグル思考から抜け出しやすくなる


頭の中で何度も同じことを
考えてしまう「グルグル思考」は、

整理されていない感情や疑問が原因で
起こります。

書き出すことで思考や感情が
見える化されると、

「今、自分はこれを考えてたんだ」

と把握できて、それだけで脳の緊張が
緩みます。

それによって、思考が前に
進みやすくなるのです。



感情との距離がとれるようになる


「怒ってる自分」
「不安な自分」
「落ち込んでる自分」

それらをそのまま紙の上に
出していくうちに、

だんだんと
感情と一体化しない感覚が育ちます。

感情にのまれそうになったときも、

「あ、いま書きたくなるくらい
感情が動いてるな」

と冷静に気づけるようになります。

この「気づける」ことが、
まさに自己客観視の成長の証です。


自分を責める時間が減っていく


書いていくうちに、
自分の中にある正直な思いや、
本当の望みに出会うことがあります。

すると、

「ああ、自分はダメなんじゃなくて、
ただつらかったんだな」

と優しい視点が生まれてきます。

自分を責めていた時間が、
自分を理解しようとする時間に変わっていく。

これも、ジャーナリングがもたらす
大きな変化のひとつです。



ジャーナリングを通して育つのは、
自分に冷静でいられる力」と
自分を受け入れる力」。

この2つがそろうと、
感情に振り回されることがぐっと減り、
心の安定感が増していきます。


今日からできる!ジャーナリングの始め方


「ジャーナリングがいいのは分かった。
でも、何を書けばいいの?」

多くの人が最初につまずくのはここです。

ジャーナリングに“正解”はありません。

うまく書こうとしなくて大丈夫。
大切なのは、自分の気持ちに
意識を向けてみること
です。

何を書いていいかわからないときは、
自分に問いかけてみるのがおすすめです。

たとえば、こんな問いがあります:

  • 今、どんな気持ちがある?
  • 今日あったことで、印象に残っていることは?
  • 本当はどうしたかった?
  • 今、自分に一番伝えたいことは何?

このような問いに対して、
思いつくままに、感じたことを
書いてみてください。

文法も表現も気にしなくてOK。
箇条書きでも、単語だけでも構いません。



まずは、1日3分だけ書く習慣から
始めてみましょう。

たとえば、寝る前にスマホを
触る前に、1ページだけノートを開く。

朝起きて、コーヒーを飲みながら、
1つだけ問いに答えてみる。

そんな小さなスタートで十分です。

書いた内容を、

「これでいいのかな?」
「意味あるのかな?」

と評価しないことが、長く続ける
最大のコツです。

あなたが書いたその言葉は、
他の誰でもない、

あなたの今のリアルな感情や思考の記録

たとえ支離滅裂に思えても、
それでOKです。

書くことは、整理することではなく、
そのままを映すこと。

まずはそこから始めましょう。


書く習慣が、自分の“取扱説明書”になる


日々ジャーナリングを続けていくと、
少しずつ自分のパターンが見えてきます。

たとえば、

  • 自分は「人からの評価」にすごく敏感なんだな
  • 疲れているときほど、ネガティブな思考に引っ張られやすいな
  • イライラしているとき、本当は「寂しさ」を感じていることが多いな

そんな気づきが、何度も繰り返し
出てくるようになります。

最初はバラバラだった感情や思考の
かけらたちが、書くことによって
つながりを持ちはじめます。

自分の内側に地図ができていく
ような感覚です。



自分がどこでつまずきやすいのか、
どんなときに満たされるのか、

感情のスイッチやリズムが
少しずつわかってくるようになります。

たとえば、

「寝不足だと自己否定モードに入りやすい」

とわかっていれば、
早めに休んだり、深刻に受け止めすぎずに
すむこともあるでしょう。

“知っている”ということは、
選択肢を持つことでもあるのです。

ジャーナリングのノートは、
あなただけが持っている

自分の取り扱い方が書かれた説明書」。

何かに迷ったとき、モヤモヤするとき、
それをめくれば、

「ああ、私ってこういうとき
こう感じやすいんだった」

と思い出せます。



そしてそれは、未来のあなたを
助けてくれる、心強いツールになります。

自分の心や感情に、毎日ほんの少しでも
目を向けてあげる。

その積み重ねが、
自分をうまく扱う力を育てていくのです。

自分を知ることは、人生において、
最大のギフトかもしれません。

あなたもぜひ、書くことを通じて、
自分という人間をより深く理解する旅
を始めてみてください。


たかひろ | ジャーナリングガイド

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