やらなきゃいけないことは、
頭ではわかっている。
だけど、なぜか手が止まる。
気づけば時間だけが過ぎていく——。
誰もが一度は
経験したことのある「先延ばし」。
多くの人は
「自分は意志が弱い」
「怠けてる」
と責めがちですが、実は先延ばしは
脳と感情の自然な反応でもあります。
私たちの脳は、
目の前の快楽や安心を優先し、
不快や不安が伴う行動を
避けようとする性質があります。
たとえば、
「完璧にやらなきゃ」
「失敗したくない」
と思えば思うほど
行動のハードルは上がり、
手をつけるのが怖くなるのです。

では、どうすればこのループから
抜け出せるのでしょうか?
そのヒントが、
「書くこと=ジャーナリング」
にあります。
ジャーナリングは、今の思考や感情を
そのまま紙に書き出すシンプルな行為です。
しかし、そこには本音に気づく力や
行動のブレーキを外す力が
秘められています。
自分でも気づいていなかった
本当の引っかかりや、
やりたいけど動けない理由が、
書くことで見えてくるのです。

このブログでは、
- なぜ人は先延ばししてしまうのか
- どうやってそのパターンに気づき、手放していくか
- 行動に自然と向かえる書き方のコツ
を、具体的に紹介していきます。
「やらなきゃ」ではなく、
「やりたくなる」自分に出会うために。
まずは、あなたの今の気持ちを
紙の上にのせるところから
始めましょう。
まずは「現状の先延ばしパターン」を書き出す
「やらなきゃいけないことが
あるのに、なぜか動けない」
この状態をどうにかしたくて、
タイムマネジメント術や
モチベーションの出し方を
調べる人も多いでしょう。
でも、行動できない根本原因は、
時間管理の前に自分の思考グセや
感情のクセにあることがほとんどです。
まずは紙とペンを用意して、
次のことを書き出してみましょう。

いま、先延ばししていることは何?
- 例:「部屋の片付け」「資格の勉強」「メールの返信」など
それを思い出すと、どんな気分になる?
- 例:「めんどくさい」「やらなきゃって焦る」「ちょっと罪悪感がある」
いつも先延ばししがちな場面は?どんな言い訳をしてる?
- 例:「あとでもっと集中できるときにやろう」「今は時間がない」「今日は疲れてるから明日でいいや」
このように、自分の行動や
思考のクセを見える化するだけでも、
意外な気づきがあるはずです。
たとえば、
「いつも疲れているから先延ばしする」
と思っていたけど、よく見ると
本当は“失敗したくない”という
気持ちから逃げていた
…なんてこともあるかもしれません。

先延ばしは、ほとんどの場合
「無意識の習慣」です。
でも、何度も同じ言い訳をしている
ことに気づくと、
「これはただの思考パターン
だったのか」
と客観的に見られるようになります。
「やらなきゃいけない」と思っているうちは、
心のどこかで「やりたくない」が
勝っている状態です。
そのやりたくない理由が何なのかを、
書きながら探っていく。
それが、先延ばしをなくす第一歩です。
ジャーナリングワーク
- 今、先延ばししていることを3つ書き出す
- それぞれについて「なぜ手をつけていないのか?」理由を3つ書く
- よく出てくる言い訳・感情の共通点を探してみる
「感情」にフォーカスしたジャーナリングで本音に気づく
先延ばしの根本にあるのは、
「やる気がない」ことではありません。
本当は、何かを避けたくなるような
感情があるのです。
たとえば、
- 「めんどうだな」と感じるタスクの裏には、“完璧にやらなきゃ”というプレッシャー。
- 「失敗したらどうしよう」と思っていることほど、最初の一歩が踏み出せない。
- 「やったところで意味あるのかな…」という虚無感から、動けなくなることも。
つまり、私たちは「やりたくない」
のではなく、やろうとすると沸き上がる
不快な感情を避けているのです。
感情は、言葉にされないまま
心の中にあると、モヤモヤした塊になって
私たちを動けなくします。
でも、それを紙に書いて、
「○○と感じているんだ」と
言語化できるだけで、
ふっと心が軽くなることがあります。

感情ジャーナリングのステップ
- 先延ばししていることを1つ選ぶ
例:プレゼン資料の作成 - それを思い浮かべたときに出てくる感情を自由に書き出す
例:
- 面倒
- 失敗したくない
- うまくできるか不安
- 頭が真っ白になる感じ
- 怖い
- イライラする - その感情が出てくる「背景」や「本音」を深掘りする
例:
- 完璧にしなきゃと思っている自分がいる
- 人からの評価を気にしている
- 過去に指摘された経験が怖くて手が止まる
- 本当は「うまくやりたい自分」がいる
このように、ただ感情を
書き出すだけでも、
自分の中で何がブレーキに
なっているのかが見えてきます。
特に、「やらなきゃ」と思っているのに
動けないときほど、自分を責めるのではなく、
感じている自分を見つめる時間が必要です。

不安・怖さ・面倒くささなど、
行動を妨げている感情を見てあげることで、
その影響力から少しずつ自由になれます。
「私は今、失敗するのが怖いんだな」
「自分を守るために避けてたんだな」
そう気づくだけで、感情に飲み込まれずに
一歩前に進めるようになります。
ジャーナリングワーク
- 最近、先延ばししたことで「なんとなくモヤモヤしていること」を1つ選ぶ
- それについて、自分が感じていることを10個以上書き出す
- その中に、「避けたい気持ち」や「本音で感じていること」がないか探してみる
- 最後に、「じゃあ本当はどうしたい?」と自分に問いかけてみる
やる気が出ないときに使える「5分ジャーナリング」
「感情に気づいたけど、やっぱり動けない」
「先延ばししてる自分を
責めるばかりで、何も変わらない」
そんなときこそ、必要なのは
自分を責めることではなく、
流れを変えるきっかけです。
そしてそのきっかけは、
意外とシンプルな方法で手に入ります。
それが、5分ジャーナリングです。
行動できないとき、人は無意識に
大きな完了を目指してしまいがちです。
たとえば「部屋を片付ける」と聞くと、
「全部キレイにしなきゃ」と思って
動けなくなる。
でも、「机の上の紙を1枚捨てる」と考えれば、
意外と手が動くものです。
ジャーナリングの力は、
ハードルを小さくすることにあります。
やる気や集中力がなくても、
5分だけノートを開いて、自分に問いかける。
それだけで、気持ちが少しずつ整い、
動ける状態がつくられていきます。

以下の問いを使って、
5分だけ紙に書いてみましょう。
【STEP1】今、正直に感じていることは?
「やりたくない」「だるい」「気が重い」「何から始めればいいか分からない」など、頭の中をそのまま書き出す。
【STEP2】今日やることを、ひとつだけに絞るとしたら?
「完璧じゃなくていいとしたら、まず何から始められる?」と問いかける。
【STEP3】その行動のハードルを下げるには?
「時間を5分だけにする」「下書きだけしてみる」「とりあえず場所だけ移動する」など、取りかかりやすい形に変える工夫を探す。
たとえば、
「プレゼン資料をつくるのが憂うつ。全部まとめるのは無理だけど、まず“目次だけ書く”なら5分でできそう」
といったふうに、
「やるべき」から「できそう」へ、
書くことで意識が少しずつ
シフトしていきます。

行動できないときに
やってしまいがちなのは、
自分を責めることです。
でも、責めても動けるようにはなりません。
むしろ、さらに気持ちが重くなるだけ。
ジャーナリングは、そんな「責めグセ」から
抜け出すためのリセットボタンです。
「今日は気分が乗らないな」
「でも、こんな自分でも
ちょっとは動けるかもしれない」
そうやって、今の自分に優しく現実的な
選択肢を渡すことが、
行動への第一歩になります。
ジャーナリングワーク
- 今、「やらなきゃ」と思っていることを1つ書く
- それを思うとどんな気分になるか正直に書く
- 「とりあえずここから始めてみようかな」と思える小さな行動をひとつ書く
- タイマーを5分にセットして、その行動に取りかかってみる
行動が続く人がやっている「具体化ジャーナリング」
「ようやく動き出せたのに、
また途中で止まってしまった」
「続けたいのに、続かない」
そんな経験はありませんか?
行動を始めることと、行動を続けることは、
まったく別の技術です。
ここでカギになるのが、具体化という視点。
あいまいな目標を、
自分の言葉でかたちにしていく
ことが、行動を継続する土台になります。
たとえば、「ダイエットを頑張る」
とだけ決めても、三日坊主に
なりやすいのはなぜでしょう?
それは、
- どんな状態を目指すのか(理想)
- なぜそれをやりたいのか(動機)
- いつ・どこで・何をするのか(行動)
といった要素がぼんやりしているからです。
やる気や意志の強さに頼るのではなく、
自分の言葉で目的と行動を具体的にする。
それだけで、継続しやすさは
大きく変わってきます。

以下の3つの問いを使って、
今やっている(またはやりたい)ことを
言語化してみましょう。
【STEP1】私は何のために、これをやろうとしている?
表面的な「○○のために」ではなく、
「それが実現したら、自分はどう感じるか?」を掘り下げてみましょう。例:
- プレゼンを頑張る →「自信を持って話せる自分でいたい」
- 部屋を片づけたい →「心を落ち着けられる空間にしたい」
【STEP2】具体的に「いつ」「どこで」「何をする」?
「毎朝7時にリビングで10分間」「帰宅後、机の上だけ整理する」など、
場所・時間・内容を具体的に書き出します。
ポイントは「できるかどうか」ではなく、「今の自分でも試せそうかどうか」。
【STEP3】つまずきそうなポイントと、対策を考えておく
どんなにやる気があっても、気分が乗らない日や、体調がすぐれない日は必ずあります。
あらかじめ「うまくいかない時の自分」にも優しく備えておくのが、行動を“長続き”させるコツです。例:
- 「疲れてる日は10分じゃなく3分だけにする」
- 「できなかった日は振り返りだけ書いてOKにする」
- 「3日空いても、また始められたら自分を褒める」
具体化ジャーナリングは、
「何をやるか」だけでなく、
「自分はなぜそれをやるのか」
「どうやったらできそうか」
を言葉にしていくプロセスです。
だからこそ、
行動が“やらされ感”ではなく、
“自分が選んだ感覚”に変わっていきます。
ジャーナリングワーク
- 「最近始めたけど続いていないこと」をひとつ選ぶ
- それを「なぜやりたいのか」「何のためにやろうとしているのか」を5回“なぜ”で掘り下げる
- 「次にやること」を“5分以内でできるサイズ”に分解し、時間と場所を具体的に書く
- 「できなかったときの自分」をどうフォローするかも、1つ決めておく
振り返りジャーナリングで、先延ばししない自分を育てる
ここまで、
「先延ばしをやめるための書く技術」
を見てきました。
最後にお伝えしたいのは、
「振り返る力」こそが自分を変える
原動力になるということです。
私たちは、頑張って行動できた日よりも
「できなかった日」「途中で止まった日」
にこそ、自分への厳しさが強くなりがちです。
そのうまくいかなかった日にこそ、
未来を変えるヒントが詰まっています。

行動が続かないのは、意志が弱いから
ではありません。
むしろ、自分に合わないやり方や、
無意識の思い込みが原因になっている
ことがほとんどです。
たとえば、
- 「仕事が忙しくなると全部後回しにしてしまう」
- 「完璧にできないと手をつけられなくなる」
- 「他人の目が気になって、やりたいことを遠ざけている」
こうしたクセは、行動が止まった
ときにこそ表に現れます。
だからこそ、「止まった自分」を
否定せずに観察し、書いてみることが
大切です。
1週間に1度でも、1ヶ月に1度でも構いません。
「続けようとしたけど止まったこと」
「最近よく先延ばししていること」
について、以下の4つの問いで
振り返ってみましょう。
【問い1】うまくいかなかった原因は何だった?
環境・感情・思い込み・タイミングなど、自分の中で引っかかっていたことを書き出してみる。
例:
- 忙しくて疲れていた
- 他の人と比べて焦っていた
- 完璧にやらなきゃと思っていた
【問い2】それでも、少しでもやったこと・気づいたことは?
行動していないように見えても、観察していた・考えていた・悩んでいた…
小さな「前進」を拾ってあげる。
【問い3】次に同じ状況になったら、どうしてみたい?
できなかった自分を責めるのではなく、**「じゃあ次はどうしてみようか」**と優しく問いかける。
【問い4】自分を褒めるとしたら、どんな点?
結果だけでなく、「書いたこと」「気づいたこと」「またやろうとしていること」を認める視点をもつ。
自己否定よりも、自己信頼を積み重ねることが大事です。

もうひとつ、習慣化を助ける方法として
「できたこと日記」があります。
これは、その日にできた小さなことを
3つだけ書くというもの。
例:
- メールを1件返信した
- ジャーナリングを5分した
- 昼ご飯をちゃんと噛んで食べた
これを毎日書くと、
「私はできない人間だ」
という思い込みが少しずつゆるみ、
「私はちゃんとやれてる」
と自分への信頼が深まっていきます。
先延ばしは、一度や二度の
やる気では変わりません。
でも、書くことを通して本音や感情を
受けとめ、小さな一歩を積み重ねていく
ことで、少しずつ
「先延ばししない自分」
を育てていくことはできます。
そのために必要なのは、
自分を責めることではなく、
書くことで自分と対話する時間を
つくることです。
ジャーナリングワーク
- 今、先延ばししてしまっていることをひとつ書く
- なぜ今やれていないのか、自分の気持ちを正直に書く
- 次にどうしてみたいか、小さな工夫を書いてみる
- 「書けた自分」に、ひとこと感謝またはねぎらいの言葉を
書くことで、人は少しずつ変われる
先延ばしは、誰にでもあることです。
それは「怠けているから」でも
「意志が弱いから」でもありません。
本当は不安だったり、自信がなかったり、
完璧を求めすぎていたり――
そんな見えない気持ちが、
私たちの行動を止めている
だけなのです。
ジャーナリングは、
そうした気持ちに気づき、受けとめ、
やさしく言葉にしていく行為です。
そしてその積み重ねが、
「私は動ける」
「私は選べる」
という静かな自己信頼へと
変わっていきます。

最初は5分でかまいません。
「今、何を感じてる?」
「本当はどうしたい?」
そんな問いかけを、
ノートの上で自分にしてみてください。
書くことは、行動への第一歩。
そして、書くことを続けることは、
未来の自分への贈り物です。
あなたが先延ばししない自分へと、
少しずつ、でも確実に変わっていけることを
心から願っています。
たかひろ | ジャーナリングガイド